44分のスパイス。
決して広くはない小さな店内は
ランチを愉しむ女性客で満席
私達が予約した席だけが妙に目立っている
私「すみません、1人遅れてくるんですが大丈夫ですか?」
入店してから10分
ろくちゃんは来ない
私「じゃぁこれを400で下さい」
クラフトビールをオーダー
飲む気は無かったけど
ろくちゃんが来るまでコーヒーの金額では申し訳ない
患者さんが急変しちゃったから仕方ない
お願いだから急がないでね
なんて、
穏やかな気持ちも
30分1人でいると小さくなってきた
もしや
今日は
来れないんじゃない??
1人か。。
何年も一緒にランチしてきたけど
ろくちゃんが来ないなんて1度もなかった
あれ?
私、今、
サミシイ?
さ!
仕方ない、気を取り直して!
現状をお店目線で見てみよう
私達のせいで2席無駄にしてしまっている
ランチ1人2500円、2人分で5000円かぁ
ん〜
クラフトビールが1300円だから、おかわりして
ランチを1人分オーダーしたらお店の損はないかな
入店してから45分過ぎようとした頃
腹を括り
"よしオーダーしよう"
手をあげかけたら
ろくちゃん登場〜
くぅぅぅぅ
この拘り尽くしのお店にめっちゃ似合ってるな!
でも。。
過呼吸状態みたいになってる
ぷぷぷ
ハァハァしながら見渡してる
私を見つけ、た
けど先に店員さんに深く深く謝罪している
あぁ
そうそう
この人のこゆとこ
愛しくて愛しくて
たまらないんだった
6「ほんっと!ごめんね!」
7「大好き」
6「ハァハァ え?あ、オーダーまだ、ハァハァ
だよね、じゃ、ハァハァ。。」
7「大好き」
6「ハァハァ。。。。。
うん、僕も大好きだょ」
昨日の夜のこと
お父さんのこと
仕事のこと
新しいニットのこと
来週の紅葉デートのこと
ろくちゃんのお話を聞きながら
私は美味しいランチを食べた
44分待たされなければ
味わうことのなかったこの気持ちは
ランチデートを一層愉しく美味しいものにしてくれた
6「カモミールのアイスだって、頼んでみない?」
お店への気遣いも、きゅんとする
秋晴れの空の下
お揃いのコンバースで歩き出した
ランチデートは、
7「行ってらっしゃーい」
6「行ってきます!」
これが好き。
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